この記事は2020年8月24日に公開したものです。法令や制度はその後改正されている場合があります。最新の情報は「改正公益通報者保護法のポイント」「匿名の内部通報ガイド」をご覧ください。
公益通報者保護法とは
公益通報は、不正や違法行為を明るみに出して是正を促し、社会と企業の双方に利益をもたらすものです。その一方で、通報者が勤務先から解雇や減給などの不利益な取扱いを受けるおそれもあり、実際に報復人事と疑われる事例も起きています。
公益通報者保護法は、公益のために通報した人を保護するとともに、国民の生命・身体・財産などを守ることを目的とした法律です。2006年に施行され、2022年6月と2026年12月に大きな改正が行われています。
どんな通報が「公益通報」になるのか
勤務先の不正や法令違反について、勤務先の通報窓口(内部通報)や行政機関、報道機関など(外部通報)に知らせることを公益通報といいます。法律で保護されるには、「誰が」「どのような事実を」「どこに」通報したかについて、一定の要件を満たす必要があります。
1.通報者
正社員のほか、派遣労働者、アルバイト・パートタイマー、公務員、取引先の労働者などが含まれます。2022年の改正で、退職後1年以内の退職者と役員が加わり、2026年12月施行の改正では、継続的に業務を受託しているフリーランス(特定受託業務従事者)も対象になります。
2.通報の対象となる事実
対象となる法律に違反する犯罪行為や、最終的に刑罰につながる行為などが「通報対象事実」です。2022年の改正で、過料の対象となる行為も加わりました。対象となる法律は消費者庁のWebサイトで確認できます。
3.通報先
通報先は次の3つで、優先順位はありません。通報者が自由に選ぶことができ、通報先ごとに保護されるための要件が異なります。
- 事業者内部…社内の通報窓口や担当者、事業者が委託した外部の窓口(法律事務所や専門事業者など)、上司など。不正の目的でなければ保護されます。
- 権限のある行政機関…通報対象事実について勧告や命令の権限を持つ行政機関。通報先が適切でない場合、行政機関は適切な通報先を教えることになっています。
- その他の外部…報道機関や消費者団体、労働組合など。被害の発生や拡大を防ぐために必要と認められる場合など、保護の要件が最も厳しく定められています。
完全匿名ヘルプラインのような、事業者が契約した外部の通報窓口への通報は「事業者内部」への通報にあたります。
2026年12月施行の改正で強化される点
- 正当な理由なく通報者を特定しようとする行為(通報者探索)の禁止
- 通報をしないよう求めるなどの通報妨害の禁止
- 通報を理由とする解雇・懲戒への刑事罰(個人は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、法人は3,000万円以下の罰金)
- 通報後1年以内の解雇・懲戒は、通報を理由とするものと推定
詳しくは「改正公益通報者保護法(2026年12月施行)のポイント」で解説しています。
通報者が気をつけること
不正の目的でないこと
金品をゆすり取るなど不正な利益を得る目的や、会社や他人の信用を落とす目的での通報は保護されません。ただし、こうした目的でなければよく、純粋に公益だけを目的としている必要はありません。
他人の正当な利益を尊重すること
通報には、第三者の個人情報(患者の氏名や病歴など)、事業者の営業秘密、国の安全に関わる情報などが含まれることがあります。これらが不用意に広まると、取り返しのつかない損害を生むおそれがあります。通報者は、他人の正当な利益や公共の利益を害さないよう努めることが求められています。
公益通報は、違法行為の是正を期待して行われるものです。通報を受けた事業者や行政機関は、必要な調査と是正措置を行い、その結果を通報者に知らせるよう努めることとされています。